愛の呪詛

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「でさあ、今回の人、あ、タクミっつーんだけどお」 酒が入りヒートアップしたほのか。 今回の彼氏(タクミ)はほのかのバイト先の先輩だったらしく、かなりメンヘラ気味だったそうだ。重さに耐えかねてなんとか別れたそうだが、未だに連絡が来て怖いとかなんとか。 「もうやばいの!見てよこれ!」 見せられたのは携帯の着信履歴。 「うわ」 「さすがに怖いでしょ」 「やばかったら警察行きな」 「えーやだあ」 ほのかはあまり本気にしていない様子。 「男はほんとに何するかわかんないんだから、早めに縁切っとかないと怖いよ」 千晶のことがあってから、佳澄は男のそういうことに少し敏感になっていた。 千晶は今何をしているだろうか。 体の傷は癒えただろうか。 「ちょっと聞いてんのー」 ほのかが佳澄にもたれて言った。 危ない角度だ。 ほのかにその気が無くても佳澄にとっては誘われているともとれる体勢。 「どうやって別れたの、その人と」 目を逸らして尋ねる。 「えーとねー」 ほのかが佳澄の目を見てニヤリと笑った。
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