愛の呪詛

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「彼女ができたって言った」 その言葉にため息が出る。 これはどうしようもない時にほのかがしばしば使う最終手段だった。 その時だいたい佳澄とほのかの写真を見せつけるのだ。今回はどの写真を見せたのか····· 「あんたまたそんなことしたのね」 「だってこう言ったら大体の男は萎えて離れてくでしょ?」 「まあ、そうね」 私とそうたのことだ。 そう思ったが佳澄はあえて何も言わなかった。 「はぁ·····また来たよ」 ほのかが携帯の画面を見て怪訝そうに呟いた。 例の元彼から電話が来たようだ。 「1回ちゃんと話せば?そういうの私経験無いからわかんないけど、終わんないと思うよ」 佳澄がそう言うとほのかは渋々電話に出た。 それを見た佳澄は空いた皿を持ってキッチンへ行く。洗っている最中、先週の千晶のことが思い出された。 この前バイトに行くとマスターに千晶のことで心配されたが、高校時代の先生だったとか言ってうまいことはぐらかした。 まさか、そのまま家に連れ帰って2泊も許し流れで体の関係まで持ったとは口が裂けても言えまい。 洗い終わって戻るとほのかはまだ電話していた。 なんとなく気になって自分の携帯を開く。 「あれ·····」 知らない番号から2件も着信が入っていた。 少し怖い。
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