愛の呪詛

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ほのかみたいな感じだったら、とは思ったが自分はほのか程可愛くないし男に未練を残されるような別れ方はしてない。 ほのかを見ると視線で佳澄に何かを訴えていた。 近づいで話してる内容に耳をそばだてる。 電話口で男がほのかに訴えようと必死になって何か言っていた。 『女、好き、おかしい、嘘、俺と別れるための口実、嫌だ、ほのかどうかしてる、証拠、ありえない、騙されてる、脅し、大好きなのに、愛してる、彼女、気持ち悪い、俺のどこが悪い、信じない、愛してるよ、会いたい、寂しい、大好き、死にたい、今どこにいる、辛い、俺を許して、もう離さない、大好き、別れたくない、ほのかに会えないなら死にたい、愛してるから、なんで、俺はこんなに愛してる、なんで、ほのかに会いたい、愛してるよ、大好きなんだ、今どこにいる、会いに行く、信じて、大好き、愛してる、会いたい、俺変わるから、愛してる、幸せにする、大好きなんだ、もう二度と、約束する、逢いたい、愛してる、もう一度、好きなんだ、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる、愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛し』 気づいたらほのかから携帯を奪い取り通話を切っていた。 「佳澄·····?」 佳澄の目の中の今まで見たことの無いような感情にほのかは震えた。 佳澄は無言でほのかに携帯を手渡すとゆらりと立ち上がった。それに僅かに後ずさったが、後ろはソファにより塞がれておりそれがとても恐ろしく感じられた。 前髪が垂れて顔がよく見えないが、今の佳澄が猛烈な何に支配されているのは確かだ。 こんな佳澄、見たことない。 本能的な恐怖を感じ、ほのかは携帯を握りしめた。 「ごめん、ちょっとムカついて」 口調は明るいが、取り繕ったようなそれが逆に怖さを増長させた。 「私の大好きな人がね、ずっと同じこと繰り返したんだ」 ソファに座り膝をかかえて佳澄は口を開いた。 先程とは全く違うどこか哀愁を含んだ口調にほのかはゆっくりと顔を上げる。
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