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14:50 「もう帰るわね」 まだ眠っている佳澄の髪を撫でて千晶はバッグを手に取った。 気をつけても音は鳴ってしまうもので、佳澄が瞼を震わせる。 「·····千晶さん」 離れたくないと手を伸ばす佳澄。それを握り返しちょっとは微笑んだ。 「この後飲み会なんでしょ?ちゃんと起きなさいよ」 寝ぼけている佳澄は娘のようだ。いずれ結菜が成長したらこういうやりとりをするのだろう。 まだぼーっとしている佳澄の手を離す。 「鍵開けとくからちゃんと閉めるのよ」 「·····またね、千晶さん」 ふにゃっと笑って佳澄は手を振った。先程の顔とはまた違う可愛らしい表情。 「またね」 静かにドアを閉めて玄関に向かった。
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