第2話 刺客

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後方から微かな鉄の擦れる音が聞こえ、反射的に左側へ身を避けると パシューン 「うぐ‥ 」 間一髪弾丸は俺の腕をかすめた。背後からは60代の眼鏡をかけたババアが敵意をむき出しにした表情で俺に傘の先端を向けていた。 どうやら折りたたみ傘の先端から弾丸が発射される、銃だった。流石に雨に日なら人混みに紛れて狙撃できるなと感心した。 俺は、胸ポケットから愛用の拳銃を取り出して応戦しようとするが 「ヤバい、拳銃をコンビニのトイレに忘れてきてしまった」 こんな時に商売道具を忘れるとは探偵失格だな。かくなる上は 「ウオオオオ」 俺は勢いよく奴に飛び掛かろうとしたとき‥ 「う、ぐ‥ 目眩が」 「アハハハハ、念には念を入れて弾丸に毒を仕込んでおいたのよ」 下品な高笑いをするババアに怒りがこみ上げるがこの時既に力が入らず、意識朦朧としてきた。辺りの歩行者が好奇な眼差しで過ぎ去っていくと、俺は再びその場で崩れるように倒れ込んだ。 「復活したらババアをぶっ飛ばす‥ 」 俺の意識は遠くなり身体が動かなくなった。周りの野次馬達はザワザワと集まりだし、若い奴らは俺にスマホを向けて撮影してやがる。何故だかコイツ等にも怒りを覚えるぜ。 張り詰めた空気の中、俺は再び息を引き取った
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