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欺く心
何よりも強く愛を求めていながら
愛そのものを否定する愚かさ
しかし刃物の切っ先の様な眼差しは愚かと呼ぶにはあまりに鋭く時に悲しく光る
そしてそれが自傷行為のひとつだと気づくのに時間は必要なかった
その時はただ、怒り、憤り、切なさ、遣る瀬なさなど自分の手に負えない様々な想いが頭の中で渦巻いてむしゃくしゃとするばかりだった
しかし間もなく、この意思の及ばないところで俄に沸き立ったこれらのどうしようもない想いの数々が今度は突然なんの前触れもなく冷めて行った
ひとつひとつの感情が一斉にまるで示し合わせたかの様に熱を放ちながら融合して行く
それは生まれ出た時と同様に瞬く間の変容であった
そしてひとつの塊が残った
それが今、この心に重くのしかかっているのだ
鉛の様な質量感とともに
それは悲哀ではないが
悲哀に似た何かである
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