現代にて

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現代にて

仕方なしで握ったシャープペンシルを、脳内で再生したお気に入りの曲に合わせてゆらゆら揺らしてみる。六時間目は大して面白くない数学の授業だった。日本史のK先生、現代文と古典のB先生の授業しか面白いと思ったことがない。そもそも数学なんて興味がない科目だ。他の生徒だって八割は寝ている授業だった。 聞いていても教科書に書いてあるようなことを延々と話すだけで、いまいちよく理解できない。先生が一生懸命やっていると感じたら、私だって面白くなくてもいくら欠伸が出る授業でも、もっと真面目に受けている。訳の分からないグラフと添えられた申し訳程度の説明を理解しようと眺め、欠伸を噛み殺す。シャープペンシルは未だに宙で踊っていた。午後の最後の授業ということもあり、周りは皆伏せていて黒板がやけに見えやすい。見えやすいから授業に熱心になることはないが。頬杖をつきながら教科書を眺めてノートを見てを繰り返して、内容を確認してみる。先生の板書はほぼ教科書の丸写しだということがわかっただけで、ノートの端につまらないと一言書いてやった。
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