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「ね、華これからカラオケ行かない?」
「学生割でフリータイム500円! 学生証持ってるっしょ?」
「持ってはいるけど、私これから友達と遊ぶ約束あるから、今回は遠慮しとく」
「ん〜そっか〜残念! じゃあまた今度誘うわ!」
「え、てか今度前言ってたパフェ行こうね! 華さんが言ってたヤツ!」
「じゃあ今度そこ誘う! 私たちそこそこ急ぐから! じゃねー」
「うん、バイバイ」
彼女たちは改札口まで走っていく様子は、さながら青春を謳歌していた。学校では1番仲の良い友達だから、お誘いが別に嫌な訳では無い。ただ、タイミングが悪いだけだ。ひたすらに気まづい時間が流れてしまい、思わず三人から顔を背ける。
女子高校生は頻繁に遊びに誘ってくれた。断っても真っ当な理由ならいくらでも誘ってくれた。案外さらっとしている所もあるから掴めない。かと思えば意味のわからないところでねちねちしている。本当にわからない人たちだ。
今までくすくすと遠目から笑っていた友達が、彼女たちを横目に見て近づいてくる。カールした長髪がゆらゆらと揺れている。今日の前髪は絶好調のようだ。
「よっすー」
「……よっす」
お決まりの挨拶もキマっている。彼女ほどじゃあないのは明らかだが。この軽い挨拶はどうにも慣れなかった。私が言うと、なんとなくギャグっぽく思えてしまうのかもしれない。らしくない、というのだろうか。彼女のように明るい性格ではないから、どうも、くらいが自分に合っているのかもしれなかった。
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