現代にて

3/4
前へ
/11ページ
次へ
「ね、(はな)これからカラオケ行かない?」 「学生割でフリータイム500円! 学生証持ってるっしょ?」 「持ってはいるけど、私これから友達と遊ぶ約束あるから、今回は遠慮しとく」 「ん〜そっか〜残念! じゃあまた今度誘うわ!」 「え、てか今度前言ってたパフェ行こうね! 華さんが言ってたヤツ!」 「じゃあ今度そこ誘う! 私たちそこそこ急ぐから! じゃねー」 「うん、バイバイ」 彼女たちは改札口まで走っていく様子は、さながら青春を謳歌していた。学校では1番仲の良い友達だから、お誘いが別に嫌な訳では無い。ただ、タイミングが悪いだけだ。ひたすらに気まづい時間が流れてしまい、思わず三人から顔を背ける。 女子高校生は頻繁に遊びに誘ってくれた。断っても真っ当な理由ならいくらでも誘ってくれた。案外さらっとしている所もあるから掴めない。かと思えば意味のわからないところでねちねちしている。本当にわからない人たちだ。 今までくすくすと遠目から笑っていた友達が、彼女たちを横目に見て近づいてくる。カールした長髪がゆらゆらと揺れている。今日の前髪は絶好調のようだ。 「よっすー」 「……よっす」 お決まりの挨拶もキマっている。彼女ほどじゃあないのは明らかだが。この軽い挨拶はどうにも慣れなかった。私が言うと、なんとなくギャグっぽく思えてしまうのかもしれない。らしくない、というのだろうか。彼女のように明るい性格ではないから、どうも、くらいが自分に合っているのかもしれなかった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加