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「んふふ、華ーこれから遊びいこーよーお願い!」
「遊び……」
「はいはい、わかったこれね、これ! はーなこさん、遊びましょ!」
「ちょっと、それはやめてってば」
「ごめんごめんーバレちゃったら困るしね」
「バレるわけないけど、私がそれ嫌なの」
小言を交わしながら、人のいない改札口を電子音を鳴らして通っていく。足が地面を蹴る感覚も違和感はない。もうすっかり人間の生活に慣れた証拠だった。
元々は現代妖怪として生まれ、人々に恐れられてきた私たち。それが今や、女子高校生としてこうして人々の前にいて、生活を送っている。あれほど有名になったにも関わらず、月日が経てば飽きられてしまい、すっかり伝説上の生き物になってしまった。今や学校の怪談の肝試しをする人は少ない。私たちを知らない人の方が多いのだ。
そんな現代社会に溶け込んだ現代妖怪が私たちである。少しばかり人間らしい生活を始めてからというもの、それからの日々はあっという間に過ぎ去っていった。私たちが居なくなったところで、都市伝説として終わるだけなのだから大きな問題ではない。なんて皮肉だろうか。
「ね、花子って呼んだらキレる?」
「テケテケって呼んでもいいならキレないけど」
「……やっぱなし」
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