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「こちら今日のお供です……早い者勝ちだからね」
「今行くから!!ラップが切れてくんないの!!……よしよし切れた切れた!!」
「前から思ってたんだけどさ、下半身なんとかならないの?」
「それな?一々ラップかけんのめんどいんだよね! でもあれしないと乾燥するし」
両肘で今日にこちらへ向かってくる。毎度家に来ては頃合を見て下半身をマネキンのように飾っている。取り外しているだけなのだが、どう見てもリアルな質感のマネキンにしか見えない。切断面を見ると中々にグロテスクで吐きそうになる。……まぁ生身の人間なのだからグロテスクなのは当たり前と言われればお終いだ。
彼女はご存知、テケテケとして一世を風靡した。現在は同じく女子高校生としてキャピキャピしている。
「あえて聞いてなかったけど、あれって取り外せるんだね」
「そーそー。花子とさ」
「家では花子って呼ぶし」
「そっちのが呼びやすいんだって! んでね?その、現代でこうやって暮らす前にさたまたま! ほんとにたまたま道にいた下半身と再会したわけ! もう駆け寄ったよね! 感動の再会ってやつ? そっから下半身は自由に取り外しできんだけどさ、久々にあったからさ、お互いに協調し合うのが疲れんだよねー。それで必要なとき以外は外してんの。 私も肘で移動するときのが慣れてるし。」
「ヒール履かない理由ってそれなんだ」
「そーそー」
「……テケテケっていうより、音はドスドスって感じだよね」
「それは私も思ったけどさ……でも一時期小さい子の音鳴る靴を緩衝材にして肘に着けてたから、テケテケって音も否定は出来ないんだよねぇー」
「それピコピコじゃない?」
「そうとも言う」
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