0人が本棚に入れています
本棚に追加
早速お菓子の袋を一つ豪快に開け始める。上半身だけになると下半身付きより活発的で、正直怖い。同じ現代妖怪でも本格的なホラーという感じがして本当に、怖い。私なんか三番目にいつも居て、お決まりのセリフを言われたら一言返事をするだけのことが多かっただけに少し羨ましい。今ではテケテケなんて呼ばずに、てっこなんてあだ名で呼ぶほどには仲もいい。
「てかほんと垢抜けしたよねー」
「てっこの言う通りにしただけだけどね」
「私が助言したとはいえ! 凄いよー」
トレードマークの黒髪ぱっつんおかっぱ頭を失うのには相当悩んだが、いつまでも昭和のヘアスタイルでいるわけにはいかない。時代に馴染まなければという危機感の元ネットを駆使し、てっこの助言も聞きながら思い切って髪を切った。結果、前髪は昭和のアイドル風で本当に流行っているのか不安だったが、街ゆく人を見ると同じような髪型の女性が溢れていて、時代は巡るものだと昭和くさく考えてしまった。
お互いにテストがどうだの友達が面倒くさいだのよくある近況報告をし、落ち着いたところで各々ノートや教科書、参考書を広げる。お菓子とジュースを傍らに置くのがこの勉強会の決まりだ。週末に一度だけ開かれるこの勉強会が密かな楽しみになりつつある。勉強会をして、そのままお泊まり会をすることも、いつの間にかお決まりの流れになっていた。賑やかだった先程とは打って変わった雰囲気の中、問題と睨めっこしてはシャープペンを走らせ、消しゴムに手を伸ばしては頭に手を当ててみる。この流れも様になってきた。時折愚痴こそ零すものの手が止まることはなく、時計の針はもう17時を回っていた。
最初のコメントを投稿しよう!