49.現実

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 女の子?  誰からだろう?  友達?  花居で仲良くしている子は何人もいたが、そんな風な感じで手紙を送ってくるような友達にはまるで心当たりがなかった。  何度も読みたいと、ポケットにその存在を感じる度思ったが、今の自分ではその文字を読むことが出来ない。  かと言って、母や稔彦に読んでもらうのも気が引けて、ずっとそのままになっていた。  このまま雨ざらしになれば、今はポケットの布の厚みで多少保護されているこの手紙も、いずれはびしょびしょになり、文字が読めなくなるかもしれない。  それでもどうにも対応出来ない自分の無力さに、和子は首をガクンと落とした。  夜が深まるにつれ、雨はじんわりと冷たくなり、露出した肌部分は徐々に重く、固くなっていった。  そして身体が強ばると共に、睡魔が襲ってきた。  あの日、天使は和子に『生きよ』と言った。  そしてその時、心が熱くなり、自分でも生きなければと思った。  けれど今の和子にその気持ちは湧かなかった。  自分の弱さに埋没し、身を投じてしまっていた。  暁の言葉も、天使の言葉も、その心には響かなかった。
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