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4話「教育」おひさま!
伝統と文化の街、倫敦。
この物語は、倫敦のちいさなお屋敷を舞台にお届けする。
9歳のちいさなメイドちゃんと、お年を召した奥様の、1年間の日常です。
外は七月の晴天なれど、お屋敷には暗雲立ちこめて、雷幾度も落ちたりて。
「奥様、そのような甘いことをお考えになってはなりません。学校に行かせようなど……。この子は奥様の使用人なのですよ!」
雷落とすは一人の老女。昔お屋敷でハウスキーパーをお勤めでした、フランソワーズさんでございます。
長いワンピースがどこかヴィクトリア朝めいた方。
ほとんど抜けた柳眉を逆立て、元の主人にご意見申し上げます。
忠義立てたるご主人は、お召し物こそ高価ながらフランソワーズさんとよく似た老女。
腰も曲がらず品よく痩せた、優雅なご婦人であらされます。
……今は、フランソワーズさんの雷に気弱に反論なさっておいでですが。
「あのね、フランソワーズ。今は時代が違うのよ。ほら、リチャードだって学歴がなくてつける仕事じゃなかったでしょ?」
援護を求められたブラウン氏、おそるおそるに進言します。
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