4話「教育」おひさま!

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「奥様、そもそもこの子は読み書きができるのですか?」 「その……アルファベットもできないわ……。だからこそ」 「奥様はおいくつになられますか?」  言い切らせてくれません。 「は、80だけれどね……。でも私は」  メイドちゃん、そーっとフランソワーズさんを見ます。  きっと見返されます。びくびく目を伏せます。  心の中でがんばってー、と言います。  口に出す勇気はありません。 「奥様、その通りでございます。奥様は80歳です。80歳にもおなりなのです。それに比べてこの子はいくつですか?」 「9歳よ。だから、だからねフランソワーズ。私が死んだ後、この子が1人立ちするためには教育が必要なの。学校に行かせなくてはいけないのよ」  メイドちゃんの目に涙が浮かびます。ぷるぷるとフランソワーズさんを見上げます。  老いてなお忠実なハウスキーパー。厳しい瞳で見返します。 「ユーリ、使用人たるもの報告はきちんとなさい」  そうです。メイドちゃんは奥様のメイド。  幼くとも忠実なメイドです。  勇気を振り絞りました。 「学校はいじめられるからいやです!」  メイドちゃんも小さな男の子。
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