4話「教育」おひさま!

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 他の子どもと顔を合わせずして生きていかれません。  けれどもお隣のペーター以外、子どもはみんなメイドちゃんが嫌い。  パパもママもいない、自分の誕生日も知らない子は嫌いなのです。  奥様、はっとなさいました。  メイドちゃんは9歳なのに1年生で、アルファベットも読めないのです。  学校でいじめられないわけがないのです。  フランソワーズさん、メイドちゃんによろしいとうなずき。 「ずっと行かせるなと申し上げているわけではありません。この子が勉強で困らなくなって、自分で学ぶところを選べるまで、何よりこの家での暮らしにもっと慣れるまで。それまで学校はお待ちくださいと申し上げているのです」  そして、今までで一番毅然とおっしゃいました。 「ですから奥様、いいかげんご隠居なさいませ! 健康安全にこの子に勉強を教えて、穏やかな生活をなさいませ!」  やっと奥様にも毅然さが戻ってこられました。 「それはとても理想的な老後だわ。でも、やりません。私は仕事を続けます。ユーリの学校は……もう少し先になってから考えるわ」  フランソワーズさん、メイドちゃんを見ます。
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