4話「教育」Moonlight.

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4話「教育」Moonlight.

「確かに襟元にハーケンクロイツがあったわ。ネオナチ気取りの若者ね。きちんと組織として機能しているわけじゃない連中。つまり、私の情報を流した上がいることは確定事項よ。襲撃場所の癖としては――、ファイルをもう一度見せて。そう、この団体の癖があったわね」 「ありがとうございます、テーラーさん」  ブラウンに向かって、ローザは軽く愚痴をこぼす。 「ユーリは仕事をしている私が好きらしいけれど……。たまにモナコやセーシェルあたりでぐうたらして余生を送りたくなるのよね」  ブラウンは同じようなうんざりした表情をする。 「私もそういった余生を検討していましたが……。あなたのおちびさんの家庭教師をすることになりましたね……」  年寄りになったからといって、思い通りには生きられないのだ。  再度ため息。 「そもそも私は教師ではなく教官なんですけどね……」 「そもそも私はあなたの教え子に守られるべき市民のはずよね……」  繰り返すため息。 「教え子の誰一人、尻尾をつかめなかった武装集団が……80歳の女性に蹴散らされたとあっては……。失礼ながら、私の教育方針が間違っていたのかと不安になります」
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