2話「市場」おひさま!

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 マーク&スペンサーに向かい、バイクを繰る勇姿。彼も歴戦の騎士。騎士は集うさだめなのでしょう。  メイドちゃんも手綱――首から提げたお財布のひも――を、しっかと握り直します。ガマグチとうたわれし東洋のお財布です。 「では、小麦粉を買いに行きます。また明日」 「小麦粉!? あの婆さんが!?」  市場は今日も色とりどり。5月は元気な季節です。  野菜、果物、お肉にお菓子。たくさんのお店が並んでいます。  でも、メイドちゃんが行くお店は決まっています。奥様の口癖です。  古い付き合いは大事にしなさい。  缶詰屋のおかみさんにご挨拶。 「こんにちは、おかみさん」 「こんにちは、チェルシー・フラワー・ショーは行く?」 「んー。お花ばっかりはあんまり……」  おかみさんはクスクス笑い、紅茶はまだあるか確認しました。  ホントはお店では売らないのですが……、「先代からのよしみ」だそうです。 「まだあります。では小麦粉を買いに行きます。また明日」 「あのお婆ちゃんが小麦粉!? ついにボケちまったのかい!?」  このサンドイッチ屋さんだけは新しい付き合い……、らしいです。
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