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マーク&スペンサーに向かい、バイクを繰る勇姿。彼も歴戦の騎士。騎士は集うさだめなのでしょう。
メイドちゃんも手綱――首から提げたお財布のひも――を、しっかと握り直します。ガマグチとうたわれし東洋のお財布です。
「では、小麦粉を買いに行きます。また明日」
「小麦粉!? あの婆さんが!?」
市場は今日も色とりどり。5月は元気な季節です。
野菜、果物、お肉にお菓子。たくさんのお店が並んでいます。
でも、メイドちゃんが行くお店は決まっています。奥様の口癖です。
古い付き合いは大事にしなさい。
缶詰屋のおかみさんにご挨拶。
「こんにちは、おかみさん」
「こんにちは、チェルシー・フラワー・ショーは行く?」
「んー。お花ばっかりはあんまり……」
おかみさんはクスクス笑い、紅茶はまだあるか確認しました。
ホントはお店では売らないのですが……、「先代からのよしみ」だそうです。
「まだあります。では小麦粉を買いに行きます。また明日」
「あのお婆ちゃんが小麦粉!? ついにボケちまったのかい!?」
このサンドイッチ屋さんだけは新しい付き合い……、らしいです。
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