D-6

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少し前に、同じ車の中から井上と見張ったまだ新しいアパート。その二階の角部屋が、浅井優菜の自宅だった。 あの夜遠目に眺めた部屋の中は、大輔の想像とは少し違って、若い女性が暮らしている割には物の少ない、飾り気のないワンルームだった。 彼女は大輔たちを部屋に招き入れ、シンプルな白いローテーブルの前に座らせると、クッションとかなくてすいません、と言いながら、冷たい緑茶が入ったグラスを大輔と晃司の前にそれぞれ置いた。 大輔は、自分の正面に腰を下ろした彼女を、グラスに手を伸ばしながらそっと見つめた。 彼女は疲れきって、やつれていた。当然だろう。妊娠初期で体調が悪い中、昨日までO中央署で取り調べを受けていたのだ。だから大輔は、押収品を返したらすぐに追い返されると思っていたが、意外にも彼女は大輔と晃司を部屋に上げ、飲み物まで出してくれた。 鈍い大輔もなんとなく察した。彼女は話したがっているのだと。水島のことか、伊藤のことか――事件のことかはわからない。そしてどう切り出したらよいかもわからず、無言で冷えた緑茶に口をつけていると、晃司が先に口を開いた。 「体調はどうだ? 昨日も何時間も聴取されたんだろ?」 言葉は優しくないが、そう話す晃司の声は優しい。それは彼女にも伝わって、優菜は安心したようにゆっくりと話し出した。 「……平気です。あのきれいな刑事さんがすごく気を遣ってくれて、こまめに休ませてくれたし」 きれいな刑事――とは穂積のことだろう。捜査中は冷酷に振る舞うあの人が、容疑者に温情を示したことに少し驚く。本当はとても優しい人だから、具合の悪そうな妊婦には冷徹ではいられなかったのだろう。 「そうか。ならよかったけど……水島が逮捕された後も、きつく問い詰められただろ?」 「それは……しょうがないですよね。あたし、嘘ついてたし。共犯だと思われて当たり前です」 井上から聞いて、優菜は伊藤の殺害に一切関わっていなかったことは知っている。しかし井上たちがそう結論付けるまで、厳しい尋問は続いたはずだ。彼女は嘘をついたし、水島を庇っているような様子があったからだ。 「てゆうか……祥太が殺されたって聞いて……あたし、すぐ思ってたんです。克実が……水島がやったのかなって」 悲しそうに笑って、優菜は水島との関係を自分の言葉で語り始めた。

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