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「裏で回ってる個人情報を手に入れてから熱心に人を騙して金儲けしてるって聞いてたけど、相変わらず要領悪い男だな」
煌さんはあの社長の知り合いなんだろうか。
「今回だって暴利を貪るような金額を生み出せてないしね。どこ行っても使えない奴」
「俺は知りません」
ケタケタ笑っている煌さん相手に真正面からぶつかる気はしない。
社長とは人生のどこかで接点があったんだろう。
そして今は違う道を歩いている。
「鈴木さんはずっとこんな仕事続けるの?」
「どうでしょうね…」
学歴も資格もない俺にまともな仕事に就くのは難しく、流れているうちにたどり着いたのが今の社長の所だった。
「あいつとは付かず離れずの距離保っといたほうがいい」
言葉の意味はわからなかったが、煌さんが裏の社会と繋がりがあることだけは理解できた。
いつも儚げな怜さんとは真逆の、地獄の釜に落ちる寸前の所に立っている人間独特の雰囲気は絶対に消せない。
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