4人が本棚に入れています
本棚に追加
他愛もない会話をしているうちに
オレたちは教室に着いてしまった。
県立海皇ヶ丘高校の3階、2年1組が
オレたちの教室だ。
「おはよー」
「おうハヤテ!朝から
夫婦で登校だなんて羨ましい限りで!」
「「夫婦じゃない!!」」
教室に来て早々オレたちを
冷やかしてきたのは桜井潤。
オレが高校で作った初めての友達で
サッカー部に所属している。
前髪の長い茶髪に、ボタンが2つも
空いた制服のワイシャツ。
一見不真面目そうに見えるが実はとても
イイ奴だ。
「それよりもよ、昨日の
W杯アジア最終予選見たか??
本多のフリーキックヤバかったよな!?」
「え?あ、ああ、あれは凄かったな…」
適当に話を合わせるが実は昨日の
試合は見ていない。
楽しみにしてはいたものの、自分の”力”の
ことでそれどころじゃなかった。
本多のフリーキックで同点に追い付き、
逆転勝利したことは朝のニュースで知った。
「お前さ、サッカー部に戻ってこないか?
今の1年がやる気なくてさ、
1年くらいのブランクどうってことはないさ。」
「……わりぃ。母さんの体調が
あんまよくないし、マメの面倒も
見ないといけないからさ。
戻るのは難しいかな…。」
「……そうか。」
最初のコメントを投稿しよう!