4人が本棚に入れています
本棚に追加
「オレと遥花はただの幼馴染さ。
付き合ったりはしないよ。」
「ふーん」
潤は頭の後ろに手を組んで、天井を
見上げた。
「でもよ、堀内さん人気あるから
誰かに取られるかもしれないぜ?」
「人気ある?遥花が?」
「え、ハヤテお前知らなかったのか?
大きくてキレイな目、黒髪ポニテの
男ウケする髪型、その上運動神経
抜群で誰とでも仲良くなれる
サバサバした明るい性格ときた。
モテない理由がないだろ。
サッカー部の連中の間でも可愛いって
ウワサだぜ。」
「そう、だったのか……」
遥花が陰でそんなに人気があった
なんて知らなかった。
昔からオレと比べて同性異性共に友達が
多いのは事実だが、
好かれているとか付き合うといった
浮いた話は聞いたことがない。
「ま、誰かに取られて後悔する前に
告白なりなんなりしとけよ。
親友からのアドバイスだ。」
潤はオレにウインクする。
オレは冗談混じりに笑う。
普段となんら変わらぬ、いつもの日常。
カシャン!
「あ、わりぃ。」
潤の手が当たり、オレの机の上の
シャーペンが床に落ちる。
ふたり同時にシャーペンを拾おう
として、潤とオレの手が触れる。
『・・・なんだ』
一瞬すぎてはっきり聞き取れなかった。
「あ、潤。背中にゴミ付いてるよ。
とってやる。」
「おお、マジか。ありがとな。」
聞き間違いだ。
そうに違いない。
昨日から驚くことばかりで
疲れているんだ。
オレは潤の背中に手を伸ばす。
潤の心の声が、本音が、オレの心に
突き刺さる。
『俺、堀内さんが好きなんだ…』
最初のコメントを投稿しよう!