第1章―不思議な力―

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「人の心を読み取れるか…… 神様も厄介なことを…」 神様が本当にオレを気に入ったなら テレポートとかサイコキネシスとか もっと分かりやすくて使いやすい 能力をくれてもよかったのに。 ”人の心の声が聞こえる能力”なんて 面倒くさいというか、地味で 使いにくい。 「よ!!朝から暗い顔してどうした?」 『ハヤテ元気そう!昨日のことは 大丈夫そうね!』 「うお、遥花!いきなり背中叩くなよ。」 「ごめんごめん、珍しく難しい顔 してたからさ。」 昨日もお世話になった幼馴染が 満面の笑みでオレの背中を叩き、 オレの横に並ぶ。後ろで1本に纏めた 彼女のポニーテールが風に揺れる。 遥花がオレの背中を叩いた瞬間、 彼女の心の声がオレの脳内に流れた。 昨日のこと色々心配してくれてたんだな… 「何か考え事してる?」 「い、いや、別に…」 「ウソ。絶対何か隠してるでしょ。」 いたずらっぽく笑う遥花。 「隠してねぇよ。」 「私、ハヤテのことならなんでも わかるんだから。隠したってムダだよ。」 コイツ、本当にすげぇな。 まさかコイツも心読めるわけじゃないよな… 「そういえば、あと2週間で夏休みだよな。」 いくら遥花といえ、心が読めるように なったことは隠しておきたい……。 オレは上手く話題を逸らし、 遥花を誤魔化そうとする。 「だね。でも私は週5で部活だから あんまり遊べないかなぁ。」 「秋には新人戦もあるもんな。 頑張れよ。」 「そうなんだよね~。 ハヤテ、新人戦応援来てね。 約束だよ?」 「ああ。わかった。」
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