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「へぇ。日取りはまだ……」 「では、決まり次第、屋形のおかあさんから僕に連絡を貰うとしよう」  その方はうちに微笑んでくれはった。 「しっかりお稽古重ねなさい。楽しみにしているよ」  あの方に誉めて欲しくて必死にがんばって、今のうちがあるんや。  そのお方は、御幸右京はんいう京の街でも有名な旧家のご子息はんやった。お若うとも大きな会社の重役さんどす、とおかあさんが言うてはった。  夜のお座敷が始まる前の束の間の時間、屋形でおねえさん達とおかあさんを囲んでお茶を頂いていた。隣にいてはったおねえさんが言わはった。
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