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 年が明けて最初のお座敷やったし、まだよう知らんかったから、言われるままに。  今年のうちは、誰に書いて貰うんやろ?  想いを馳せ、フッと浮かんで消えた影に、胸に微かな痛みを感じた。  迷信や、思ても、微かな希望の光を見てまううちは愚かやろか。 「姫扇の鳩は、まだ真っ白やないか」  京の花街はどこも角松や、しめ飾り、七福神の置物が飾られ、お正月ムードに彩られていた。  おことうさんどす、で始まる新年。芸舞妓は挨拶周りに忙しい。  芸のお師匠さんへの御挨拶に始まり、お世話になってるお茶屋を巡る。目まぐるしい年明けの最初のお座敷、梅扇さんねえさんと一緒に上がった。
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