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 御贔屓さんである馴染みのお客さんの第一声が、その「真っ白やないか」だった。  梅扇さんねえさんがお酌をしながら言笑う。 「今年は、意中の誰かはんに入れて貰うと違いますか」  酌を受けるおとうさんが、ほぉ、と笑った。 「姫扇にも意中の誰かが?」  お客さんであるおとうさんにまじまじと見つめられ、恥ずかしゅうなって俯いてもうた。 「梅扇さんねえさんたら」 「こないおぼこい舞妓・姫扇を虜にした男はどこのどいつや。気になって夜も寝られん」 「おとうさん、からかわんといておくれやす」
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