3人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
私の数字
私をいじめていた子たちの一人が死んだ。
事故だったらしい。
何かから逃げるように、走り回り、大型トラックに引き潰された。
その現場には他の子たちもいたらしく、彼女の死を境に私がいじめられることはなくなった。
余程酷い死に方をしたのだろう。
事故に関係のない私が呪い殺したと噂になるほどだ。
呪いなんて馬鹿馬鹿しい。
あの日あの子が死んだのは唯の運命なのに。
私が特別何かをした訳じゃない。
ただ、教えてあげただけ。
「あなたの寿命はもう今日で終わり」
あの日、私はあの子にそう告げた。
ただそれだけだ。別に脅したつもりはない。
私には“視えて”いただけ。彼女の寿命が。
学校の休み時間に私のペンケースを隠そうとしていた彼女は、酷く驚いていた。
でもすぐにその表情も変わり、私を馬鹿にするように笑う。
「死神にでもなったつもり?」
嘲笑う彼女に肯定も否定もせず、私はただ黙っていた。
彼女の寿命が残り六時間程度だったから。
――ああ、私がなにもしなくてもこの子は勝手に死ぬ。
そんな虚無感が私の心を支配していた。
いじめっ子の末路は哀れなものだ。
最初のコメントを投稿しよう!