魔王曰く平和が一番

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象人族の村。 国王ミリマは魔石へ続く階段を降りていた。 今まで自分の中でも封印しておいた魔石の存在。 千年前にニホンという国から来た勇者が、その剣に魔石の力を宿し魔王封印を成し遂げた事は、歴代の国王のみ知る最高機密だ。 しかし、あの冒険者たちはその事を知っている。 女神ハルモニアの導き.... だとすれば、彼らは勇者という事になる。 しかし、勇者と呼ぶにはあまりにも禍々しい魔力をゲンという男から感じる。 カイ同様に心は読めないが、彼が危険人物だという事は一目で分かった。 彼らに託せばルシファーを倒す事は可能かも知れない。 しかし、同時に多大なる犠牲を払わなければならない気がして仕方がない。 この国ごと滅ぼすのか? 他国の犠牲になれというのか? 獣人、ドワーフ、エルフ....亜人の国とは結局その程度のものなのか.... ミリマの思考は悪い方へ向かい動き出していた。 「私が....このミリマ・ジュア・テンボが....」 ミリマは魔石へ繋がる最後の扉を開けた。 それは神々しくもあり、禍々しさも感じる。 低周波の音が規則正しく聞こえている。 心臓の鼓動にも聞こえる。 呻きにも聞こえる。 ミリマはSランク冒険者の頃に命を預けていたロングソードを抜き、魔石と向き合う。
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