それぞれの道

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魔王は長い眠りについていた。 千年程前に天界の大天使を味方につけた人間界の勇者によって封印されていた。 体は動かない。 魔法も使えない。 しかし、その命が途絶える事はなく、また現状魔界で何が起きているのかは把握していた。 魔王はゲンに強い興味を抱いていた。 (あれは....異世界から来た転生人か....ほう、もう一人が天界に....くくく、成る程な....さて、どうなるやら) ゲンの父親は魔王直属の部下だ。 魔王が目覚めないのなら、自分の息のかかる者を後継にと考えていた。 故に、ゲンが誕生したという知らせは吉報中の吉報であり、更にゲンの成長を目の当たりにして、ゲンこそが次期魔王であると確信していた。 願わくば天界との戦争が起きる前に、魔界を統一すべきだと考えていた。 更にゲンに対してはあくまでも魔界と天界の戦争であり、人間界は関係ないと伝えてあった。 理由は、ゲンが人間に対して友好的な考え方をしている為に、ゲン自身が魔族として一人前になるまでは余計な刺激を与えない方が良いと判断したからだ。 今回、サイクロプスを人間界に送り込んだのはゲンの父親だ。 サイクロプスにとって人間は格好の餌であり、それと戦い狩る事が《訓練》に繋がるからだ。
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