それぞれの道

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「最早これまでか....」 今回の討伐で武勇を轟かせ、またひとつ高みに駆け上がる....それが木っ端微塵に砕け散っていくのを他人事のように感じていた。 しかし、まだ生きている兵士がいる。 彼らを無駄死にさせるわけにはいかない。 「俺が時間を稼ぐ!おまえたちは退却し城に報告しろっ!パラム大隊長に連絡をっ!」 「しかし兵団長!」 「命令だっ!行けっ!必ずパラム大隊長にっ!」 「り、了解しましたっ!ご武運をっ!」 助かるわけがない、数秒持つかどうかだ。 それは誰でも分かる簡単な話。 「全員退却!急げっ!」 部隊長の号令に兵士たちは一斉に逃げ出した。 それを確認したオルルドは馬から降りて、その馬をも逃がす。 「さて、せめて一匹くらいは道連れにしたいもんだな」 腰の剣は冒険者時代からの相棒だ。 サイクロプスの集団から一体が前に出た。 「ほう、おまえが相手になってくれるのか....じゃあ正々堂々と勝負するかっ!」 良かった....これであいつらは逃げる事が出来る。 後はパラム大隊長が俺達の仇を取ってくれるだろう。 思い残す事がないわけではないが、オルルドは満足だった。 「じゃあ....行くぞ!」 スキル縮地を使い、一気にサイクロプスの胸元に飛び込み下から剣を突き上げる。 確かな手応えと共に、オルルドの剣がサイクロプスの喉に突き刺さる。 その場にゆっくりと巨体が倒れていく。 「まずは一匹」 当然のように荒れ狂うサイクロプスたち。 「剣技、石斬刃」 振り下ろした剣はサイクロプスに直接当たる事なく、その体を半分に切り裂く。 「水切」 水平に振るう剣は水を纏い、細かな粒子となった水がサイクロプスの身を上下に分ける。 「剣が持たないか....硬い体をしてんな」 オルルド自身、これだけの数を相手にするつもりはない。 適当な所で逃げる事ができればと考えていた。
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