それぞれの道

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「天界との戦争は近いな」 魔族の中はその話題で持ちきりだった。 「片っ端からぶっ殺してやる」 戦闘を心待ちにしている者。 「できたら穏便に済ませたい」 平和を望む者。 「どっちでもいい、来るならやるだけだ」 ゲンは無関心だった。 前世は戦争のない国で生まれ育ち、スポーツとしての格闘技には夢中になっていたが、殺し合う事が普通に行われるこの世界で、ゲンは知りたくもない命の軽さを目の当たりにしていた。 兵士は使い捨てが当たり前だ。 死にたくなければ強くなるしかない。 殺される前に殺す。 自分が助かるために犠牲は厭わない。 (魔族ってのは、ある意味純粋なのかもな) 現在、魔王不在の魔界内は確かに纏まりがない。 それまで魔王の配下として働いていた幹部たちが、次期魔王の座を狙い功績を上げようと単独で動いているからだ。 ただ、それだけに兵力も弱く天使の力の前にことごとく殲滅させられていた。 (まあ、このままじゃジリ貧、戦争にならなくても数年で魔界は滅亡だ) そして、それもゲンにすればどうでも良い事だった。
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