それぞれの道

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「どういう事だ!」 マハル王は書簡を床に叩きつけながら叫んでいた。 取り乱してはいけない....すぐに落ち着きを取り戻した王は国軍大隊長を呼んだ。 「パラムをここへ」 謁見の間に王の弟であり、公爵でもあるゼニス、王城騎士団長のカタリナ、そして国軍大隊長パラムが集結した。 「王よ、かの国はその場所さえ分からぬ幻の国....これは他国の陰謀では?」 公爵の話に頷くカタリナ。 「確かにかの忘却の国の名前を出せば、大抵の者は震え上がるかも知れませんが、我が国に関しては全くの無意味であります」 「しかし、ならば何故このような無駄な事をする?周辺の国家が例え連合軍になった所でこの国を落とすどころか、国境すら越える事は不可能だ」 パラムの言葉に黙り混む公爵とカタリナ。 「我らが王よ」 片膝をつき、頭を垂れるパラム。 「パラム、面を上げ意見を述べよ」 「はっ、現在大森林にサイクロプスが出現し、我が国軍から500名の兵士が討伐に向かったのは既に報告済みと存じますが」 「ああ、聞いておる」 「ここに来て少しずつではありますが魔物の出現率が上がっております...今回の件と無関係とは考えにくいのですが」 「それはどういう....」 「申し上げます!」 謁見の間の分厚い扉の向こうから兵士の声が聞こえた。
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