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「おお!我が子の目覚めだ!」
ゲンに向かい伸びる両手。
(殺されるっ!....て、我が子?)
そして初めて気がつく。
抱き抱えられた自分が赤ん坊である事を。
(何だっ!まだ夢から覚めないのかっ!)
ここに来てようやく気づくゲン。
(夢....じゃない?何なんだこのリアル感は....)
そこで思い出したのは、ベビーカーを押し戻したカイを後ろから押し倒す形で覆い被さり、そのまま猛スピードの車にはね飛ばされた際の猛烈な痛み。
体から溢れ出る血液と薄れ行く意識。
(あれは....即死だろ)
赤ん坊である以上は細やかな抵抗すら元気であると喜ばれるだけと気づいたゲンは、徐々に落ち着きを取り戻していった。
そして考える。
(死んで生まれ変わった先がこの何とも奇妙な世界で、不思議な事に前世の記憶がそっくり残っているか....)
辺りを見渡すと、かなり高価な調度品が目に入った。
部屋もかなり広い。
そして自分を抱き上げている者が明らかに人間でない以上は、自分もやはりそうなのであろうと改めて認識していた。
(よりにもよって....どう見ても悪役面だな)
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