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私はゴロリと首を動かし、上を見上げる。
半透明の袋から見上げた夜空は………
思いの外、綺麗だった。
澄んだ空気の中、1等星が瞬く。
カツンと、硬い下駄履きの音がして………
瞬時に意識が臭いゴミ溜めへと引き戻されてしまう。
そこには大きなゴミ袋を抱えたおばちゃんが居た。
夜間のゴミ捨ては禁止されているのだが……
捨てに来たのだろう。
私の顔を見て、
一瞬、それが何なのか解らず立ち尽くしていたようだった。
私がグルリと視線を向けてやると
「ひぃっ!」と引きつった声を上げ、
立ち去ってしまう。
取り残されてしまった私の生首は、
ただ静かに考え込む――――――。
(…………私の何が、いけなかったのだろう――――――)
私は、ただ姉を心より愛していただけなのに――――――。
(…………昔は、仲が良かったのに………)
私が、何度、姉に逢いに行っても――――
再び、あの温かく、柔らかい腕で…………
抱き締めてもらえる事はなかった――――。
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