普通の会話

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普通の会話

「こら紘、明日は早いんだからもう寝なきゃダメでしょ」 「今いいとこなんだって」 「寝坊したらどうするの。ほら、お母さんに早くそれを渡しなさい」 「まだ読み途中だからダメ!」 これだけ聞くと、何の変哲もないただの親子の会話のように聞こえるだろう。 話題の渦中がbl本であることを除けば。 「お母さんまだそれ読んでないんだから!貸しなさい!!」 「いや俺が読んでるから。母さんはその後でね」 「大体あんた明日入学式でしょ!寝坊でもしたらどうするの!?」 とにかく早く寝なさい!という声と共に、固く握り締めていたはずの薄い本は、あっさりと母の手に収まった。おかしい、なんでこんな時だけ母さんの握力は強くなるんだ。 戦利品を手にし、嬉しそうに部屋を出ていく母の背にゴリラめ……と呟くと、あとで聞くため隠しておいた音楽プレーヤーまで奪われた。 あぁ、それ入れたばっかなのに……。 まだ聞いてもいないドラマCDのことを思うと、目から汗がでてきた。 仕方ない、諦めて寝よう。 そう決意して目を閉じると、ドラマCDの攻め教師の絵が頭から離れず、しばらく眠れなかった。 ごめんよぉ、名も知らぬ攻め教師。
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