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ドラゴンと言っても、一口にいろいろ存在する。
地上、天空、海底…果ては異空間。
様々な場所に生息し…またそのすべての場所で猛威を振るう王者である。
環境に適した変化と進化は生き物であるそれとは全く同じで…ゆえにドラゴンといっても外見や性質も多岐に渡るのだが、今回のドラゴンは並外れた防御力と体力の持ち主であるらしい。
半年もの間飲まず食わずで、無数の狩人からの襲撃に耐え抜いた猛者である…また、反撃らしい反撃さえなかった。
ゆえに村人たちの中には討伐依頼が間違っていたのではないかと疑う者もいたのだが、今さら遅い話である。
そもそも、山のようなドラゴンが寝床にするような遺跡やら洞窟やらが普通に村の近くにあったことが普通じゃない。
きっと、古代の遺跡が時代の流れにより風化され…何も知らない自分らの先祖がその場に村を建造したのではないかと学者のじいさんは言っていた。
それすら、推測に過ぎないが。
それでも最悪、村人の1人を生け贄かつ囮にして村を放棄する案が出されてから冒険者による討伐依頼は続行された。
そんな冒険者が拠点にしている冒険者の店…すなわち宿屋兼酒場が導竜亭(どうりゅうてい)である。
50代にさしかかったもと冒険者の女主人が冒険者ではない下働きの後進を鍛え上げている、型破りにてパワフルな店だ。
「パスタ2人前入りました!!」
活気の良いウェイトレスの声が厨房に向けられる。
後進ゆえに、声が明るい。
ただ、無謀かつ残酷だなとも主人は思う。
彼女の傲慢さも、自分の無慈悲さも。
冒険者の店に、冒険者ではないものを雇わせるとはどういうことなのか…知らんわけではなかろうに。
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