夢と知りせば

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「悪い夢であればいいのに」 眼を開けてそう思った 頬は湿っていて 唇は乾いていて もう昔の話だろう もう「昔」より大切にすべき「今」があるだろう 分かっている 嗚呼 君はまだ「今」にいる こんな願いなどもう叶わないのに 悪い夢 全くその通りだ 「夢の中で会えれば」 なんて そんなの嘘じゃないか 夢で逢えたって 君と話し 君に触れても 眼を開ければ ただのぼやけた白い天井じゃないか 君はどこにもいない 「あの日々が幸せな夢であればよかったのに」 これはきっと本当
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