やらかした!

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やらかした!

私は、とんでもない事をやらかした。 「あのさ、これ、どういうこと?」 「え、えっと、ですね……」 私は、正座をしながら肩を竦めていた。 私を怒っている人は、私のアルバイト先の主である。 私がやっているアルバイトは家政婦。私は、主の家でとんでもない事をしてしまったのだ。 とんでもない事とは……。 遡ること、1時間前。 * * * 今日も、お掃除!お掃除! 私は、雑巾や掃除機などの掃除道具を使って、主の部屋を綺麗にしていく。 すると、ふとあるものに目を向けた。 「あれは……掛け軸?」 見たこともない掛け軸が飾られていた。 私は近くで見ようと近づいたその時。 テーブルの脚に自分の足を引っ掛けてしまい、転んでしまった。 だが、転んだだけならまだマシだ。しかし、私は非常に運が悪かった。 手に、バケツを持っていたのだ。しかも、水が入っていた。透明で綺麗な水ならまだ良かった(まあ、良くはないけど)のかもしれないけれど、これまた、運が悪い。 (なんでもかんでも、「運」のせいにはしてはいけないけど) 雑巾を洗ったばかりの汚水が入っていたのだ。 その汚水が、主の掛け軸にかかってしまい、汚れてしまったのだ。 「ど、どうしよ……」 オロオロしていると、ドアがガチャリと開く音が部屋に響いた。 主は、リビングに入ると、掛け軸と床と私を順番に見ると、見たことがない不敵な笑みを浮かべていた。 (あー、やべぇ。殺される) * * * ということが起こったのだ。 主は、普段、怒るような人ではない。普段は、スーツがとてもよく似合っていて、眼鏡をかけていて、真面目そうだが(多分、真面目)眼鏡を外すと、とてもイケメン。 (少女漫画でよくあることが現実にあったのだ) だが、私はこんな温厚な人を怒らせてしまったのだ。 「どういうことかな?」 「あー、えっとですね……。見たこともない掛け軸を見ようと思って近づきましたら……」 「……」 「テーブルの脚に私の足を引っ掛けてしまって、それで、手に持っていたバケツの中の水を、かけてしまいました」 「ほんと、君は……」 「申し訳ございませんでした!」 「はあ。君はほんと、危なっかしいね」 「……ありがとう、ございます」 「褒めてないよ?」 「すみませんでした!弁償しますから!」 「……君が弁償?」 主は鼻で嗤った。私はショックを受けていた。まさか、主が鼻で嗤うなんて!と。 「そうだな……これ、300万円するんだよね」 「へ?」 私は素っ頓狂な声をあげた。 (さ、さん、300万!?) 「もちろん、弁償してくれるんだよね?」 主は、不敵な笑みで私を見つめて、圧をかけてきた。 私は、涙目で窓を開け、ベランダに出ると叫んだ。 「おーかーねーが、なぁぁぁぁいぃぃぃぃ!」
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