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大学からバイクを走らせ、指定のあった警察署へ辿り着く。
「さて、と……」
駐車場へバイクを置き、そのまま建物の中へと歩こうとする。
たどり着く前にお呼ばれした理由を考えてみるか。
『アイツ』から電話を受けたからには……おそらくまた『力』を使う戦いが起きるんだろう。
にしても……何故集まる場所が警察なんだろうか。
こう言っちゃあなんだが、いくら警察とはいえここ最近頻繁に起きてる『ライダーと怪人のゴタゴタ騒動』なんてお仕事の管轄外だ。精々市民の避難が精一杯な所。
いや、一般人の避難が精一杯、とは言ったが、それはとても重要な事だ。
被害を最小限に抑える事ができる、立派なお仕事だ。
だけど、そんな警察でも、身内に俺たちの様な事情を知っている奴がいない限り、イザコザへ介入する事なんて考えない筈だ。
事によっちゃあ悪い予感しかしねえが……
「………ん?」
そんな考え事をしている内に、耶俥はとある人物を発見する。
どこかの……というか最近じゃよく見るようになった高校の制服姿………
「………輝か?」
「ウェッ!?な、なんだやっくんか………」
どっかで聞いたような驚きの声と共に輝は振り向く。
やけになんかコソコソしてる学生服の野郎がいるかと思ったらコイツか。
妙に態度が覚束ないな……
「お前がここにいるって事は、『アイツ』から連絡来たんだろ?」
「ッ、って事はやっくんもか……」
どうやらこいつも連絡を受けてここへ来たようだ。
でも………
「なんでお前そんなビビってんの?」
そう、やけに恐れている。
まあ、高校生が警察に向かうというシチュエーションは大抵はロクなことが起きない。
よくは知らんがこいつは昔名高い不良だったらしい。
今はその影は潜めてるが、しかしコイツは今や『ライダー』に変身する人間だ。
たかがここへ呼ばれたくらいでこんなビビる事は無いと思うが……
「ビ……ビビってねえし!やめろ!それ以上踏み込むなやっくん!!」
「いや別にどうでもいい、ただ珍しいと思ってな。そんなやましい事でもあんのかお前?」
「いや……ない!!決して!!」
「嘘つけ絶対あんだろ?」
「そ、それより!さっさと行こうぜ!もしかしたら俺らの他にもあの人に呼ばれた奴いるかもだし!!」
「あ、おい!」
ぎこちないはぐらかし方をしながら輝は警察署の中へ入っていく。
「ったく……。」
続いて耶俥も、中へと入っていった。
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