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「今あぁしてる間でも……隙が全く無いんだよ。立ち方……重心っていうか、歩き方でもうヤバい。」
「………つまり?」
「喧嘩は超強え。少なくとも俺1人じゃ本気出しても絶対に勝てない。」
………コイツがこんな真面目に相手の事を観察してるって事は、マジな話なんだろうな。
さっきのコイツの問答が遅れてた理由が分かった気がする。野生の勘みたいなのでもう気付いたってところか。
「なにやら物騒な話をしてるけど、君ら2人を捕まえようとか考えてないから安心していいよ。」
「「ッ!?」」
小声で話してる内容だったのに、あっさり聞かれていた。
なるほど、確かに隙が無いって訳だ。
「はいどうぞ。」
そうこうしている間に、先程頼んだ飲み物が出される。
「………あぁ。そう言えば自己紹介はまだだったね。もう『彼』から聞いているかもしれないが改めて。
警視庁特殊犯罪課所属の刑事、『椎名 祐希』だ。よろしくな。篠原 輝君、耶俥 誠司君。」
ソファに腰をかけ、簡単な自己紹介を行う。
「俺たちの名前も、『あの人』から聞いてるってことっすよね……知ってるってことは。」
「ふふ、まあ実は君らの事は少し前から知ったばかりなんだけどね。この特殊犯罪科が設立されたくらいかな。」
「………じゃあ、もうこういう形式ばった挨拶はいらないだろ。」
輝と椎名が話してる中、耶俥がそう切り出す。
「何が目的だ?俺達を監視しろとか、そんな感じの命令でも受けてんのか?
警察からしたら、俺達の存在も、その辺の野良プレイヤーも対して変わらない認識だと思うしよ。」
「おいおい、それはねえんじゃねえかやっくんよ。
現に俺達はあの人の連絡受けてここに来てんだし、この人もさっき捕まえる気はねえって言ってんだから……」
「ーーーそれが全部、『嘘』だとしたら?」
「………は?」
「ま、普通に考えりゃ唐突過ぎるだろ。いきなり警察に来いだの言われるし、それに、ここに来るまで一度もアイツに会っていない。確かに電話に出たのはアイツだったが……」
ここで、一呼吸置く。
「もし、その電話が『捕まってる状況下の』電話だとしたら?」
「………ッ!?」
あり得る可能性を、彼は提示した。
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