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「「ーーーッ!!!!」」
感じ取った明らかな『敵意』。
それに対し、2人はその場から立ち上がり、威嚇とばかりにテーブルに足を乗せ………
「………随分と物騒なものが現れたものだね。銃刀法違反になっちゃうよ?」
耶俥の手には、銀に紫のカラーリングが光るまるでメリケンサックをモチーフとしたような。
輝の手には、白いカラーリングの、見た目はまるでバイクの前輪部分がモチーフとしたような。
2つとも……その手に『銃』の役割を持つものが握られ、椎名に向けていた。
「へえ、どっからどう見ても『おもちゃ』にしか見えないのに、物騒なものなんて表現するんだな。」
耶俥は椎名の表現にちょっとした疑問を持つ問いかけをする。
「そりゃあ、職業柄色んな『危険物』を目にするからね。
びっくり箱の中身が爆弾とか、仕込みナイフがある花束とか。そして君達のそれは確かにおもちゃにしか見えないだろうが……作り込みを見れば分かるものだよ。」
そんなものを向けられてるのにも関わらず、椎名は動揺や焦りの様な表情が現れない。
余程場数を踏んでいるのだろう。刑事なら尚更だ。
「さて、2対1………いや。」
少し目線をずらす。
「窓の……いや、『鏡の中』と言えばいいのかな?少しだが気配を感じるよ。気のせいだったら有難い。」
「………ッ!?」
椎名が一瞬目線を合わせた鏡。
その向こう側……否、その中に、佇むなにか。
(このおっさん………やっくんの『モンスター』に気付いてるのか?
しかもピンポイントに『ミラーワールド』の存在を当ててきてる………まさか、このおっさんも『ジュエル』を、それも『ミラーワールド』へ行ける奴を……?)
「一つ補足しておくと、俺はその鏡の中へ行ける手段は持ち合わせてはいないよ。篠原 輝君。」
輝が思考している中、話しかけていく椎名。
「………ハッ、心でも読んでんのかよ。」
「少しの動作から物事を見極める力も必要だからね。それに君みたいなタイプは多少誤魔化してても案外分かりやすいものだよ。」
「つまり、全部お見通しって訳かよ……」
口元を引き攣りながら呟く。
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