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「そんなありきたりな答えなんか求めちゃいない。
言ったろ?君達の真意………いわば、始まり、アメコミ風でいうなら『原点』だ。
それを知りたいって言ってるんだよ。俺は。」
こっちは武器を持ってる。いつだって指を掛けることが出来る。
なのに………それをさせる事は許さない気迫が襲いかかってくる。
生半可な気持ちでいれば、すぐにやられる……そんな空気が支配していた。
「………………『後悔』したくないからだ。」
その空気感の中でも、輝は再び、口を開いていく。
「小さい頃、ヒーローの真似事してた時があってさ、その時に自分がやらかしちまった事があって、そのせいで変にグレちまって、周りに迷惑ばっかりかけてた。
だけど、ある時その『やらかした事』と向き合う瞬間があったんだ。」
輝の脳内に浮かぶ、今より少し前の記憶ーーー。
子供の頃、自分のせいで怪我をさせてしまった少女がいた。
その少女と、数年越しに出会う事があった。
「ちゃんと向き合ってみたら、自分が思ってるより周りはしっかりしてたんだ。
むしろ、今まで自分がくよくよしてたのがそいつはとっくに乗り越えていて、それに比べて今まで悩んでいた俺にムカついたくらいだ。」
ーーー向き合った少女は、あの時の酷く泣かせてしまった表情とは無縁で、『笑って』過ごしていた。
「ヒーローの真似事で、大事なもんも守れなくて、自分なんかそれを名乗る資格なんかねえって思ってた。
………でも、もうウジウジ考えるのはやめたんだ。」
輝の持つ銃、『ゼンリンシューター』の持つ手に力が入る。
「失敗した時の後悔に縛られない為に。
2度と、自分のせいで誰かが傷付かない為に。
自分の手に入れた『力』で、後悔を残さねえ様に。その為に………自分の思い描いた『ヒーロー』に。
ーーー今度こそ、俺は『仮面ライダー』になるって決めたんだよ。」
声に強さを乗せ、輝はそう言い放った。
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