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「原点……ね。悪いが、俺にはそんな大層なもんは持ち合わせちゃいねえ。あんたの望むような回答は答えらんねえよ。」
対し耶俥は、静かに話していく。
輝とは正反対の反応だ。
「例えるなら、俺は学校の委員長みたいな、誰かがやらんといけないやつにまんまとハメられたような、めんどくせえスタンスと一緒だよ。」
一呼吸置くと、耶俥はジュエルドライバーを取り出す。
「俺はこいつとは違う。俺の持つ力は全部『紛い物』ばっかりだ。あんたの望む答えや、こいつの目指すものとはかけ離れてるなぁ。
………いや、一つだけあったか。」
耶俥の脳裏に浮かぶのは、自分の課せられた使命に従い、自らの命をも投げ打って成し遂げた、誇り高きとある『ライダー』の姿ーーー。
「でも、所詮俺自身は『代替え品』だ。何者の足元にも及ばない。
だけど………ソイツが代わりに『俺』を選んでくれたなら……まあ、俺にしかやれねえなら、代わりにやっといてやるって感じか。」
耶俥の持つ銃、『ブレイクガンナー』の銃口の向かう先は変わらない。
「後は……そうだな。
俺の連れに、猪突猛進を絵に描いたような奴がいてよ、そいつを留めるにはバカみてえな力が必要になった。ってのも事実だな。」
再び頭に過るのは、ある『女性』の姿ーーー。
「………あぁ、それっぽいの今閃いたわ。」
何かを思い付き、耶俥は言う。
「ーーー代わりを選んだ『ソイツ』を、『忘れてやらない』為にこの力を奮う、っていう事にしといてくれよ。中々それっぽいだろ?」
のらりくらり、淡々と。
もしかしたらこれは本心では無いのかもしれない。
しかし、何処か確かに、揺るがない何かを示す様に、耶俥はそう言い放った。
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