The first encounter

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「………なるほど。」 2人の言葉を聞き、椎名は口を開いていく。 「片や自分の過ちを繰り返さないように……片や誰かの存在を示す為に……か。フッ、フフフッ………」 下を向き、静かに笑みが溢れる。 侮辱のつもりかどうなのか、いずれにしても警戒心は揺るがない。 「……………君達………。」 ゆっくりと顔を上げる。 それに合わせ、2人は戦闘を覚悟したのか、ジュエルドライバーを装着した。 「ーーーいいね!『彼』が君達を選んだ理由、分かった気がするよ。合格だ。」 「………………ん?」 「……………ハァッ!?」 時間差でのリアクション。 これから戦闘が起きるかと思いきや……予想の斜め上の返答が返ってきた。 「いやーーー、悪い大人のフリをするのも楽じゃないね、慣れたもんじゃない。 あ、そうそう、『彼』の事なら心配要らない。捕獲とか監禁とかそんな事にはなってない。心配ご無用さ。」 「は?」 「ちょ………ちょいちょいちょいッ!?」 緊迫した空気からの代わり様。ついでに明らかになる『ある男』の安否。 1人だけリラックスしながら話していく様に、戸惑いを隠せない。 「さて、じゃあ早速本題といこうか、とその前に………。」 「ッ!?」 「痛ってッ!?」 流れる様に、ごく当たり前の様に椎名は立ち上がり、2人の手を叩き上げ、2つの銃が宙を舞う。 呆気に取られたのもあるが、あまりにも自然な姿勢の変わり様に2人の反応が追いつかなかった。 「ま、力の源である所有権は君達にあるんだから消せるものだし、あまり意味はないのかもしれないけど、これはしまっておいてくれると助かるよ。危ないからね。後は……『鏡の住人』に大人しくしてもらう様に言い聞かせてくれないかな?ちょっとしたお遊びが逆鱗を巻き起こしそうだ。」 ゼンリンシューターとブレイクガンナーをキャッチし、1つはすぐソファに落とし、1つは窓に向けられた。 唖然。 耶俥は戸惑いの表情が滲み、輝は口を開くしかなかった。
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