The first encounter

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「護衛………?」 自分がここに呼ばれた理由。それは意外なものであった。 「なんだ、どっかの犯罪組織にカチコミとかそんなんじゃねえのか?」 「おいおい野蛮過ぎるなぁ。それに未来ある若者をそんな危険な目に合わせるわけにはいかないだろ?」 「ふーん……」 輝は少し残念というリアクションを取り、渡されたファイルを見始める。 「じゃあ何か?どっかの国のお姫様がこの日本に来て、それが変な奴らに狙われてるとかそんな話なのか?」 耶俥はファイルを見ながら、何処かで見かけるようなフィクションを例えに出す。 「いや、残念だがそうじゃない。護衛の対象は『女子高生』だ。ちょうど君達と同じか、上の年代のね。」 「なんでったってそんなやつの護衛を……あ。」 「ジュエル絡みだろ。ほぼ100%。」 「………だよな。なんで俺達が呼ばれたっつー話になる。」 普通の護衛なら警護、SPの様な管轄の出番だろう。 だけどそうじゃなく彼らに頼んでくるのは……何かしらの『訳あり』の可能性がある。 「正解。といっても、これがそのジュエルによるものかどうかはまだハッキリしてないが……この件を連絡してくれた依頼者からいくつかの事例を聞いたところ、その可能性が高いという事になった。」 「その事例っていうのは……?」 「ーーーまとめると、その子は『他人の傷を治してくれる』だそうだ。」 ーーーまるで、神話に出てきそうな癒しの女神とも言わんばかりの現象が、彼の口から発せられた。
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