6人が本棚に入れています
本棚に追加
「んだよーここまで来て断る方が悪いだろうが、それにもう疑うもんとかなんもねえだろ」
「今言った事ならともかくまだこのファイルに書かれてる事が本当かどうか怪しい。もしかしたら依頼人の方がなんか企んでる可能性もゼロじゃない。」
「んなもんさっきのやり取りで充分分かったろうが。この人はその気になりゃいつでも俺達を懐柔出来んだし。
それに……聞く感じ、望まれねえ形でジュエル関連に巻き込まれてる奴なのは間違いねえだろ。尚更放って置けるか。」
言葉に強い力を感じる。
本当に、この案件を引き受けるつもりで望んでいる。
いや……それがあろうとなかろうと、話に出てた『彼女』が今、苦しんでいる。そう考えたとき、輝の頭の中には答えはもう一つしか無かった。
「………はぁーーー……ったく、どうしてこうなっちまうかねぇ。」
「なんだかんだ言って手伝ってくれるのはもう分かってんだぜやっくん」
「お人好しみてえに言うんじゃねえ。………まあ。乗り掛かってる……っていうかもう降りれねえ船だってのは分かってんよ。」
「ほらみろウェーイ〜」
「うるせぇ、ヒラヒラさすな」
ちょっかいを出しそれを振り払う。
「………もちろん、まだ君達が俺を信用する段階に至ってるのかどうか、微妙なラインであるのは分かっている。別に無理にとは言わない。断ってくれても構わないよ。」
「やるよ。男に二言はねえ。」
「………まあ、コイツ1人だと何やらかすか分からねえからな。アイツの考えはあってるって事だ。」
「………ありがとう。感謝する。」
承諾し、輝・耶俥と椎名の協力関係が今築かれた。
ーーーこの件が、これから起こる物語の始まりである事を、彼らはまだ知らない。
最初のコメントを投稿しよう!