君のないしょ

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 どうも新婚ラブラブ夫婦です。  周りがうらやむような熱々ぶり。  しかも、僕の妻は、世に類まれなるほど可愛い。 いや、語彙力が壊滅的になるほどかわいい。僕を見上げる小動物のような瞳、スズメがぴょんぴょん跳ねる姿を彷彿とさせる、軽快な歩く姿、思わず指を通したくなる絹の黒髪。もう見た目だけで既に抱きしめたくなるような愛らしさ。満員電車でも、上司に怒られている時も、会議でイライラした時も、できれば連れて歩きたい。そうすれば、誰も負の心情を増幅させずに世界は平和になるだろう。尊い推し=世界平和。  世界中のKAWAIIブームを超越した可愛い。妻の隣に並べば、どんな清純派女優もくすんだ汚れが浮かび上がってくるに違いない。だが、わが親愛なる、ディアディアワイフは、性格も山奥の湧き水の如く美しい。我ながら素晴らしい例えだ。単語ノートにメモしておこう。  当たり前じゃないか。ルックスで全てを判断する人間はクズ中のクズ。好感度アップのために言っているわけではない。人は見た目が100%。確かにその通り。だが、それはある程度の清潔感さえあれば、あとは中身の問題だ。豪奢な飾りの、空っぽのタッパーと平凡な見た目の、炊き込みご飯が入ったタッパーなら一目瞭然。僕は鮭と油揚げのご飯がいい。そんなことはどうでもいい。  
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