君のないしょ

10/10
前へ
/10ページ
次へ
 「いいよ。」  僕は妻の言葉に驚きつつも嬉しかった。  「え?」  旦那様の眼に穏やかな光が差す。あなたもしかして…  「それでいいんだ。」  キョトンとする妻をギュッと抱きしめる。やっと伝わったんだね。僕はご飯が好き。  夫婦の危機回避のために、おっしゃっているのね。荒ぶるグルテンラブ魂を抑えて。なんて自分を殺すのが上手い方なの!  「あなた!」  「妻よ!」  二人は熱い抱擁を交わした。  無論、結局何も伝わっていないことには気がついていない。  
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加