君のないしょ

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 ただ、そんな旦那様に一つだけ隠していることがあります。  いえ、突き詰めて言うならば、十中八九全て私の責任。旦那様は砂粒一粒分も悪くありません。私が未熟故、旦那様のスタイリッシュで欧州風の食生活に適応しきれない私が悪いのです。    私は生粋のごはん派なのです。  こんなことを不満と語るとは、自分の言い訳性分に自分で腹が立ちます。でも、たかが米、されど米。軽んじることは古来日本人の祖先が許しません。やはり、私にはふりかけゴハンがお似合い。旦那様の先進的なパン派の食嗜好に合わせるには、私の前々々々世の人格と戦わなくてはいけません。旦那様、パン派のあなたは美しい。デートの時もバゲットにパンを塗る姿が大変スタイリッシュで直視できませんでした。今も毎朝、朝日とパンと旦那様が三位一体。ごちそうさまです。
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