28人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっ? 冷蔵庫? なんで?」
キョトンとする大祐に、真友子は口元を綻ばせて「いいから。見てみて」と 促す。
そして、怪訝そうな面持ちで冷蔵庫を開けた大祐が、素っ頓狂な声を上げた。
「すげぇ! まぁゆ、テレパシー使ったの?
ってか、なんで冷蔵庫にラップが入ってんの?」
「ん? なんでかしらね。でも、時々入ってるわよ」
「えっ?! そうなの? ラップを冷やす意味って、何かあるの?」
付き合い始めたての頃の冗談を、未だに真に受けているのも
なんとも彼らしい。
だがそれ以上に、余り物などと一緒に、自分がラップを冷蔵庫に仕舞っている事に気付いていないのも、なんとも大祐らしい。
だから、つい細く笑いながら、からかいたくなる。
「どうかしらね。ちょっと頭冷やしたくなったのかもね」
えっ……。
一瞬だけ固まり、ここでようやく彼も、からかわれたと気が付く。
「ええぇ、まぁゆの悪戯だったの?」
「どうかな。でも確か、先週末も入ってたかな」
「ええぇ。じゃあ、犯人は僕じゃん」
こんな些細な会話と大祐の天然っぷりが真友子を和ませ、それが日常になっていることに「夫婦」を実感する。
最初のコメントを投稿しよう!