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「大丈夫。もうすぐ味噌汁出来るから、朝ごはん食べよう」 「うん。じゃあ、待ってるわね」 張り切って言う大祐をキッチンに残し、真友子はダイニングに向かった。 料理は全くしなかったという彼が、料理を始めたのは一緒に住み始めて   間もなく。 それでも互いの役割分担は基本的に変わらないが、真友子が多忙な時や   週末などに、たまに何かを作ってくれるようになった。 だが腕前としては、まだ超初心者レベル。 そして、お約束のように、一つは小さなドジが隠されている。 しかし真友子には、この彼の小さなドジが微笑ましく、心密かに楽しんでも いる。 それと同時に、彼のドジへの対処に慣れてくる自分に、やっぱり夫婦を   実感してもいた。 「よし、出来たっ!」 嬉々とした声が、キッチンで上がった。 ところがその途端、それは「ああっ!」という悲痛な叫びに変わる。 「もう、飯っ!」 独り芝居のような大祐のセリフに、真友子はピンときた。 「大ちゃん、ご飯炊くの忘れちゃった?」 ダイニングからキッチンに顔を出して、ションボリ項垂れる彼に声を掛ける。 途端、大きく項垂れた頭がコクンと頷いた。 「もぉ、せっかく味噌汁上手くできたと思ったのに」 ボソボソと悲しげに言う大祐の声を聞きながら、真友子はキッチンに入って 行った。
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